脊椎センター・人工関節センター
更新日 令和7年8月18日
脊椎センター・人工関節センターについて
当院ではこれまで、整形外科領域における骨折・靭帯損傷から変性疾患に至るまで、幅広い診療を展開してまいりました。なかでも、脊椎・脊髄疾患および膝・股関節疾患に対しては、より専門性の高い診療に積極的に取り組んでおります。
2022年度における脊椎手術および人工関節置換術の施行件数は、それぞれ100件を超え、年々着実に増加しております。こうした医療需要の高まりに対応すべく、当院では2023年8月より「脊椎センター」および「人工関節センター」を新設いたしました。これにより、より高度かつ専門的な医療を、より多くの患者さまに提供できる体制を整えております。

河野中央診療部長兼脊椎センター長による市民向け講座が実施されました。講座の様子はこちらからご覧ください。
センターの特色
各センターには、脊椎脊髄領域および膝・股関節領域における専門的知識と高度な治療技術を有する医師が在籍しており、「迅速かつ正確な医療」と「患者さんに寄り添う温かい医療」の実現を目指しております。
手術治療に際しては、患者さんが安心して手術を受けられるよう、専門の看護師をはじめ、術後早期の機能回復を支援する理学療法士・作業療法士など多職種が連携し、チーム医療体制を整えております。
また、安全性と精度を追求するために、コンピュータナビゲーションシステムを導入し、ネジ挿入やインプラント設置の正確性向上に寄与しております。特に脊椎脊髄手術においては、術中脊髄モニタリングや超音波診断装置を活用することで、神経障害リスクの最小化に努めております。さらに、術後は集中治療室(ICU)にて全身管理を行い、安全かつ質の高い周術期管理を実現しています。
なお、各センターの外来診療は従来の整形外科外来に併設されており、患者さんにとっても円滑かつ継続的な診療体制を整えております。
センター開設にあたり、外来は従来の整形外科の中に併設しております。
脊椎脊髄疾患について
当院には、日本脊椎脊髄病学会認定の指導医が2名在籍しており、脊椎脊髄疾患に対して専門的かつ包括的な診療体制を構築しております。脊椎脊髄領域における変性疾患(変形性脊椎症、脊柱管狭窄症など)や椎体骨折に対しては、まず保存的治療(安静・薬物療法・装具療法・リハビリテーション)を原則とし、十分に施行いたします。しかし、神経障害が高度である場合や、腰下肢痛が強く、日常生活動作(ADL)の著しい制限がみられる症例に対しては、積極的に外科的治療を提案しております。具体的には、腰椎椎間板ヘルニアに対しては、顕微鏡を用いた低侵襲除圧術(顕微鏡下椎間板摘出術)を実施しております。また、腰椎変性側弯症やすべり症を伴う脊柱管狭窄症に対しては、インストゥルメンテーションを併用した矯正固定術を行い、神経除圧と脊柱安定性の確保を図っております。
さらに、成人脊柱変形などに伴う高度なアライメント異常を呈する症例に対しては、低侵襲脊椎手術(Minimally Invasive Spine Surgery: MISS)の一環として、側方経路腰椎椎体間固定術(Lateral Interbody Fusion: LIF)を併用した治療を行っております(症例1)。
姿勢不良に起因する難治性腰背部痛により立位・歩行に著しい支障を来していたが、矯正固定術を施行した結果、疼痛は消失し、ADLに支障のない日常生活を送れるようになっています。
関節疾患について
当院では、重度の変形性関節症に対して、コンピュータナビゲーションシステムを活用した人工関節置換術を行っております。対象は主に膝関節(Total Knee Arthroplasty: TKA)(症例2)および股関節(Total Hip Arthroplasty: THA)であり、術中におけるインプラント設置の高精度化を図ることで、機能的予後の向上と合併症の低減に努めております。一方、中等度の変形性膝関節症においては、関節の温存を目的とし、適応を慎重に評価したうえで高位脛骨骨切り術(High Tibial Osteotomy: HTO)を選択する場合もあります。いずれの術式においても、術後早期からリハビリテーションを開始することで機能回復を促進し、平均的な入院期間は2~3週間と比較的短期間での社会復帰が可能となっております。
重度の両変形性膝関節症によりO脚変形を呈し、頑固な両膝痛のため歩行障害を認めていたが、人工膝関節全置換術(TKA)施行後、疼痛は消失し、ADLに支障のない日常生活を送っている。
コンピュータナビゲーションシステムとは?
コンピュータナビゲーションシステムとは、手術中に使用する「手術用のカーナビ」のような装置です。自動車に搭載されるカーナビが、人工衛星からの情報をもとに現在地と目的地を把握し、最適なルートを案内するのと同様に、この手術支援システムも、リアルタイムでインプラントの位置を把握し、正確な手術操作をサポートします。
具体的には、赤外線センサーなどを用いて、術中のネジやインプラントの位置をミリ単位で検出し、術前に立てた計画に従って「どの方向へ、どの角度で、どの程度まで」動かすべきかをコンピュータが計測・表示します。
医師はこの情報をもとに、従来よりも高い精度と安全性をもって手術を行うことが可能となり、患者さんにとっても術後の成績向上や合併症のリスク低減が期待されます。
当院では、脊椎手術および人工関節置換術において、このコンピュータナビゲーションシステムを積極的に導入しており、より正確で信頼性の高い手術を提供しています。
手術前に実施したCT(コンピュータ断層撮影)検査により得られた患者さま個別の脊椎の三次元画像情報を、ナビゲーションシステムに取り込むことで、術前計画を立案します。これにより、スクリュー(椎弓根スクリューなど)を挿入する最適な位置・角度・サイズを高精度に決定することが可能となり、神経損傷などのリスクを最小限に抑えた、安全かつ精確な手術を実現します。
術者は手術中、ナビゲーションシステムの画面を随時確認しながら操作を行います。これにより、骨切り位置や角度を高精度で把握することができ、術前に立案した計画通りに人工関節の設置を行うことが可能となります。ナビゲーションの活用により、インプラントの適正なアライメント確保や脚長差の最小化、機能的成績の向上が期待されます。
医師
脊椎センター
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河野 心範
(センター長)
(中央診療部長兼整形外科部長兼任)
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卒業年 平成8年
医学博士
日本整形外科学会 整形外科専門医日本整形外科学会 整形外科脊椎脊髄病認定医
日本脊椎脊髄病学会 指導医
日本脊椎脊髄病医学会・日本脊髄外科学会 脊椎脊髄外科専門医
身体障害者福祉法指定医(肢体不自由)
臨床研修指導医
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宮田 寛之
(副センター長)
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卒業年 平成30年
日本整形外科学会 整形外科専門医
人工関節センター
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丹羽 陽治郎
(センター長)
(整形外科副科部長兼務)
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卒業年 平成19年
日本整形外科学会 整形外科専門医
日本脊椎脊髄病医学会・日本脊髄外科学会 脊椎脊髄外科専門医
身体障害者福祉法指定医(肢体不自由) -
井窪 元太
(副センター長)
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卒業年 平成28年
日本整形外科学会 整形外科専門医
外来スケジュール
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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脊椎センター | 宮田寛之 | 河野心範 | 河野心範 | 宮田寛之 | |
人工関節センター | 丹羽陽治郎 | 丹羽陽治郎 | 井窪元太 |
(注)脊椎センター・人工関節センター受診をご希望の患者さんは、紹介状をお持ちください。
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