整形外科
更新日 令和7年8月12日
整形外科は、骨・関節・筋肉だけでなく、脊椎や末梢神経を含む「運動器」の構造と機能に着目し、その障害や疾患に対して診断・治療を行う診療科です。運動器は身体を動かすために不可欠な組織群であり、整形外科はその機能的改善を通じて、日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)の向上を目指しています。
当科では、常勤医師8名、非常勤医師3名の体制で、整形外科疾患全般にわたる診療を行っております。
診療体制としては、午前中に一般外来を実施しており、午後は予約制にて専門外来(スポーツ外来、肩関節外来〔丹羽医師担当〕、思春期側弯症外来〔宮田医師担当〕)を設け、専門的な診療にも対応しています。
また、一般外来では「新患担当医」を毎日配置しており、初診患者さんについては原則として新患担当医が診察いたします。予約患者さんについては、2~3名の医師が分担し、予約時間に沿って診療を進めることで、待ち時間の短縮に努めております。
さらに、令和5年(2023年)8月より「脊椎センター」および「人工関節センター」を新設し、より専門性の高い医療の提供体制を強化しております。

河野中央診療部長兼整形外科部長による市民向け講座が実施されました。講座の様子はこちらからご覧ください。
令和6年度における当院整形外科の手術件数は、外来手術を含めて計1128例となりました。中でも、近年注目されている低侵襲手術(Minimally Invasive Surgery)やインストゥルメンテーションを用いた脊椎手術は203例にのぼり年々増加傾向にあります。
関節外科領域においては、人工関節置換術(股関節・膝関節など)が164例、膝前十字靱帯再建術を含む関節鏡視下手術が73例施行されております。また、高齢者に多い大腿骨近位部骨折に対する手術(人工骨頭挿入術および骨接合術)は154例となっており、地域の高齢化に対応した急性期整形外科診療の中心的役割を担っております。
年度別の手術件数
病態・部位・術式
|
令和6年度 | 令和5年度 |
令和4年度 |
|
---|---|---|---|---|
脊 椎 |
頚椎
|
37 |
16 |
18 |
胸腰椎 |
166 |
131 |
109 |
|
計 |
203 |
147 |
127 |
|
関 節
|
人工股関節置換術
|
55 |
45 |
26 |
人工膝関節置換術
|
98 |
76 |
73 |
|
人工肩関節置換術 | 11 |
3 |
2 |
|
脛骨骨切り術
|
6 |
8 |
6 |
|
計 |
170 | 132 |
107 |
|
前十字靭帯再建術 | 10 |
8 |
14 |
|
その他 関節鏡手術 | 63 |
54 |
62 |
|
計
|
73 |
62 |
76 |
|
骨 折
|
四肢骨観血的整復固定術
|
299 |
192 |
223 |
人工骨頭挿入術
|
72 |
45 |
60 |
|
大腿骨近位部骨折 骨接合術
|
82 |
87 |
92 |
|
計
|
453 |
324 |
375 |
|
その他
|
229 |
202 |
193 |
|
総計
|
1128 |
867 |
878 |
診療科の特色
当整形外科では、運動器全般を対象に幅広い診療を展開しておりますが、とりわけ脊椎脊髄疾患および関節疾患に対する専門的診療を積極的に行っている点が大きな特色です。
脊椎領域
当科には日本脊椎脊髄病学会認定指導医が2名在籍しており、診断から治療まで一貫した高度専門医療を提供しています。脊椎変性疾患や椎体骨折に対しては原則として保存的治療(内服、装具療法、リハビリテーション)を十分に行いますが、重度の神経障害や著明なADL制限を伴う腰下肢痛がある場合には、積極的に外科的治療を選択します。
手術治療としては、
- 腰椎椎間板ヘルニアに対する顕微鏡下除圧術
- 腰椎変性側弯症やすべり症に伴う脊柱管狭窄症に対するインストゥルメンテーション併用矯正固定術
- 高度変形を呈する成人脊柱変形に対する低侵襲手術(Lateral Lumbar Interbody Fusion: LIF)の併用
など、患者個別の病態に応じたアプローチを実施しております。
さらに、椎間板内酵素注入療法(ヘルコニア®)を導入しており、腰椎椎間板ヘルニアに対して低侵襲かつ短期入院(1泊)での治療を実現しています。本治療法は髄核内の保水成分を分解し、椎間板の膨隆を軽減する効果があり、早期の社会復帰が可能です。ただし、過去に本治療歴がある方や一部のヘルニア形態では適応外となる場合があります。
関節領域
重度の変形性関節症に対しては、ナビゲーションシステムを活用し、精度の高い人工関節置換術(TKA/THA)を施行しています。これにより、術前計画に基づいた正確な骨切り・インプラント設置が可能となり、術後成績の向上に寄与しています。
中等度の変形性膝関節症においては、関節温存を目的として高位脛骨骨切り術(HTO)を選択することもあり、患者の年齢や活動性に応じた最適な治療法を提案しています。
術後は早期からリハビリテーションを導入し、平均2~3週間の入院期間で社会復帰を支援しています。
スポーツ整形・関節鏡視下手術
スポーツ外傷や若年者の関節障害に対しては、関節鏡視下手術を積極的に採用し、低侵襲で早期復帰が可能な治療を提供しています。特に膝前十字靱帯(ACL)断裂に対しては、競技復帰を前提とした再建術を行い、理学療法士との密接な連携のもと、術後リハビリテーションを含めた包括的なサポートを行っています。
外傷(四肢・高齢者骨折)
超高齢社会を背景に増加している大腿骨近位部骨折に対しては、可能な限り受傷当日に手術を行い、近隣の回復期リハビリテーション病院と連携して、受傷前のADL回復を目標に積極的な治療を実施しています。
その他の四肢骨折においては、まず保存的治療を第一選択としつつ、必要に応じて最小侵襲での内固定術(locking plate等)を行い、術後早期からの可動域訓練を可能としています。特に骨粗鬆症を伴う高齢者の骨折に対しても安定した固定性を得ることにより、良好な治療成績を得ています。
医師
-
河野 心範
(中央診療部長兼科部長・脊椎センター長)
-
卒業年 平成8年
医学博士
日本整形外科学会 整形外科専門医日本整形外科学会 整形外科脊椎脊髄病認定医
日本脊椎脊髄病学会 指導医
日本脊椎脊髄病学会・日本脊髄外科学会 脊椎脊髄外科専門医
身体障害者福祉法指定医(肢体不自由)
臨床研修指導医
-
丹羽 陽治郎
(副科部長・人工関節センター長)
-
卒業年 平成19年
日本整形外科学会 整形外科専門医
身体障害者福祉法指定医(肢体不自由)
臨床研修指導医
-
井窪 元太
(人工関節副センター長)
-
卒業年 平成28年
日本整形外科学会 整形外科専門医
-
宮田 寛之
(脊椎副センター長)
-
卒業年 平成30年
日本整形外科学会 整形外科専門医
- 脇田 竜生
- 卒業年 平成31年
- 須藤 いい那
- 卒業年 令和4年
- 磯田 健人
- 卒業年 令和5年
- 藤田 慶吾
- 卒業年 令和5年
-
河井 卓也
(非常勤)
-
卒業年 平成11年
日本整形外科学会 整形外科専門医
日本整形外科学会 整形外科脊椎脊髄病認定医
日本脊椎脊髄病学会 指導医
-
加納 健司
(非常勤)
-
卒業年 平成19年
日本整形外科学会 整形外科専門医日本整形外科学会 整形外科スポーツ認定医
日本整形外科学会 整形外科脊椎脊髄病認定医
運動器リハビリテーション医
-
合田 篤史
(非常勤)
-
卒業年 平成25年
日本整形外科学会 整形外科専門医
身体障害者福祉法指定医(肢体不自由)
難病指定医
外来スケジュール
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
---|---|---|---|---|---|
新 患 | 井窪元太 | 須藤いい那 | 丹羽陽治郎 | 井窪元太 | 脇田竜生 |
藤田慶吾 | 磯田健人 | ||||
脊椎センター | 宮田寛之 | 河野心範 | 河野心範 | 宮田寛之 | |
人工関節センター | 丹羽陽治郎 | 丹羽陽治郎 | 井窪元太 | ||
予約/再来 | 丹羽陽治郎 | 宮田寛之 | 河野心範 | 河野心範 | 宮田寛之 |
脇田竜生 | 脇田竜生 | 井窪元太 | 加納健司 | 須藤いい那 | |
磯田健人 | 宮田寛之 | 藤田慶吾 | |||
特殊外来(午後) |
第3週のみ 側弯症外来 宮田寛之 |
スポーツ外来 丹羽陽治郎 |
(注)脊椎センター・人工関節センター受診をご希望の患者さんは、紹介状をお持ちください。
(注)病診連携予約や新患に関しては専門分野に限らず随時対応しております。
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