一般・消化器外科

更新日  令和6年10月7日

概要

 当科は5名の医師により、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸(結腸・直腸)、肝臓、胆嚢、膵臓などの消化器外科領域と、甲状腺・ヘルニアなどの一般外科領域の手術を中心とした診療を担当しています。年間の手術症例数は500例ほどで、その約1/3が癌などの悪性疾患、残りが胆石症、ヘルニア、腸閉塞、虫垂炎などの良性疾患の手術で占められています。がんの治療には特に重点をおいており、消化器内科や放射線科、検査科と多くの職種で構成されたチームでカンファランスを行い、手術前後の抗がん剤治療や放射線治療などを積極的に取り入れて長期成績の向上を目指しています。また、小さな傷で行う身体への負担が少ない低侵襲手術も注力しています。鏡視下手術は、食道・胃・大腸(結腸・直腸)・胆嚢・虫垂・ヘルニアなどの手術に導入しており、大腸がんや直腸がんに対しては基本的に鏡視下手術を行うことを心掛けています。

 令和5年度からはロボット支援手術(ダヴィンチX,Intuitive社)を直腸がんに対して導入し、現在では結腸がん・早期胃がんに対しても行っております。
 当院は日本外科学会外科専門医制度修練施設および日本消化器外科学会専門医修練施設に認定されており、専門医の育成にも力を注いでいる他、日本外科学会をはじめとする外科系の学会が中心となって立ち上げた、データベース事業(NCD;National Clinical Database)に参加しており、手術症例のデータ登録を行っています。NCDの詳細につきましては下記リンクよりご覧ください。
 外来診療は月曜日から金曜日まで毎日行っており、午前中が初診と予約の方の診察、午後が予約診察となっています。
 救急対応では、年間を通じて24時間オンコール体制をとっています。平日のみならず夜間や休日の緊急手術にも対応しており、100例/年程度の緊急手術が行われています。

当院の広報紙、茅ヶ崎市立病院通信第12号で外科のダヴィンチへの取り組みについて紹介しております(第3面)

外科手術実績


主な手術実績 令和5年度 令和4年度 令和3年度

食道・胃十二指腸

42

35

48

小腸・大腸

145

130

135

虫垂炎

46

54

63

肝・胆・膵

59

57

71

ヘルニア

101

79

83

肛門疾患

14

9

5

甲状腺・副甲状腺

8

8

6

その他

44

36

42

合計

457

408

453

悪性疾患

133

128

160

緊急手術

79

71

92

胸腔鏡・腹腔鏡手術

163

133

126

ロボット支援下手術

35

-

-

 

低侵襲手術について

鏡視下手術割合

 手術とは、病気を治すためにやむを得ず行う治療方法の一つですが、身体に対してはどうやっても侵襲(ダメージ)、具体的には術後の痛みや、合併症発生の危険性を伴います。そこで、痛みを軽減するために傷の小さな手術を行うようになりました。小さな傷から腹腔や胸腔にカメラを挿入し、画面に映し出された映像を見ながら、鉗子(かんし)という細長い道具等を用いて行う手術が、胆嚢を切除する一般的な方法となり、その後には大腸がんや胃がん、その他の病気に対しても広く行われるようになっていきます。当科でも年々手術における鏡視下手術の占める割合が増えてきています。

 鏡視下手術ではカメラを病変のすぐ近くまで進めることが可能で、病変を拡大してみることができ、その視野の下での繊細な操作により術後の合併症が減少することが期待されます。がんに対する手術成績についても、従来の開腹手術と鏡視下手術との間で生存率に変わりがないことが証明されています。そのため、合併症発症率の低減が期待される鏡視下手術が諸学会からも勧められてきています。

 当科では、令和5年度から導入されたロボット支援下手術(ダヴィンチ)は、術者がペイシェントカートに接続された4本のロボットアームを操作して行う手術で、これまでの鏡視下手術と比べると、3Dカメラの性能もよく、立体的かつ繊細に観察できるということに加えて、鉗子には手首のような関節がついており、あたかも術者の肘から先を体の中に入れて操作をするような感覚での手術が可能となりました。実際には写真のような実際には写真のようなサージョンコンソールという機械を操作して、それに連動したアームを動かします。
これまでの鏡視下手術に比べても、手ぶれがなく繊細な操作ができるため、合併症発生のさらなる低減が期待されています。

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胃がんに対する低侵襲手術

胃がんに対する低侵襲手術割合.txt
胃がんに対する低侵襲手術割合

 胃がんに対しては、進行度(ステージ)にもよりますが低侵襲手術である鏡視下手術が推奨されています。また早期がんに対してはロボット支援下手術も勧められています。
胃がんに対する手術の内容としては、早期がんに対する手術と進行がんに対する手術は少し異なります。胃の周りにある転移しやすいリンパ節を切除する範囲が早期がんの場合は少し省略できる部分があるためです。
 進行がんに対する手術は胃をすべて切除する胃全摘術か、胃の出口(幽門)側の2/3を切除する幽門側胃切除術の二つが標準の手術となります。
一方で早期がんの場合はがんのある場所によって、胃の入り口(噴門)側の1/2以下の切除である噴門側胃切除術や、真ん中の部位を切除し入り口(噴門)と出口(幽門)を残す幽門保存胃切除術が、上の二つの手術に追加して選択することができます。
 病気を治療するためには切除することが基本となりますが、切除することによって胃の機能が低下したり消失してしまうので、なるべくその機能を温存することも身体に対する侵襲(ダメージ)を減少させることだと考えています。

 また稀な腫瘍である粘膜下腫瘍、特に消化管間質腫瘍(GIST)という病気に対しては、胃がんと異なり胃を大きく切除する必要が無いため、必要最小限の切除にとどめるように、内視鏡(胃カメラ)と腹腔鏡手術と協力して部分切除を行うことで、胃の機能を最大限温存するようにしています(腹腔鏡内視鏡合同手術;Laparoscope Endoscope Cooperative Surgery;LECS)。外来では、これらの治療計画や手術内容を詳細にお話しておりますので、いつでもお気軽にご相談ください

腹腔鏡内視鏡合同手術(LECS) 術中写真.txt
腹腔鏡内視鏡合同手術(LECS) 術中写真

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大腸がんに対する低侵襲手術

大腸がんに対する低侵襲手術割合.txt
大腸がんに対する低侵襲手術割合

大腸がんに対しては、当院では現在は7割以上の患者さんに低侵襲手術を行っております。低侵襲手術は腹腔鏡手術とロボット支援下手術に分かれますが、結腸がん・直腸がんの大部分をこれらの手術の適応としています。開腹手術と比べて、お腹の傷が小さいため術後の痛みが少なく整容面からも優れています。病状にもよりますが、術後は1~2週間程度で退院となっています。
また、がんの進行状況によっては、当院の消化器内科・放射線科と連携して治療を行っています。早期の大腸がんについては、腫瘍のサイズや深さにもよりますが、内視鏡的切除を先に行い、顕微鏡検査の結果に基づき方針を立てます。進行した大腸がんについても、大腸カメラにより通過障害の解除(金属ステント留置)を先に行うことで、人工肛門造設を可能な限り避けます。高度に進行した直腸がんや、遠隔転移を伴う大腸がんに対しては、術前に抗がん剤や放射線治療を組み合わせた治療を行い、根治を目指します(集学的治療:NAC, CRT, TNTなど)。
手術前に上記の様な専門性の高い治療を計画的に行い、腹腔鏡やロボット手術を用いた低侵襲かつ根治性のある手術を受けていただくことで、安全かつスムーズな退院が可能となっております。外来では、これらの治療計画や手術内容を詳細にお話しておりますので、いつでもお気軽にご相談ください。

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ロボット支援下手術について

当科では、令和5年度から導入されたロボット支援下手術(ダヴィンチ)は、術者がペイシェントカートに接続された4本のロボットアームを操作して行う手術で、これまでの鏡視下手術と比べると、3Dカメラの性能もよく、立体的かつ繊細に観察できるということに加えて、鉗子には手首のような関節がついており、あたかも術者の肘から先を体の中に入れて操作をするような感覚での手術が可能となりました。実際には写真のような実際には写真のようなサージョンコンソールという機械を操作して、それに連動したアームを動かします。
これまでの鏡視下手術に比べても、手ぶれがなく繊細な操作ができるため、合併症発生のさらなる低減が期待されています。

しかしこれらの低侵襲手術は、概ね従来の開腹手術に比べると手術時間がかかることや、カメラを通して観察するため俯瞰的に大きく見ることが難しかったり、触る感覚が鏡視下手術では鈍く、特にロボット支援下手術では全く無いことなど、一長一短があります。病気の進行度や患者さんの状態にとっては従来の開腹手術が勧められる場合もあります。

ロボット支援下手術 術中写真

ロボット支援下手術 術中写真

術者はサージョンコンソールを操作します。下の写真は、画面奥が、術者とサ-ジョンコンソール。手前が助手とペーシェントカート(ロボットアーム)。

術者はサージョンコンソールを操作します。下の写真は、画面奥が、術者とサ-ジョンコンソール。手前が助手とペーシェントカート(ロボットアーム)。

上がダヴィンチ用鉗子(関節があるため、開閉だけでなく先端が手首の様に曲げられる)。下は腹腔鏡手術用の鉗子(開閉のみ)。
 上がダヴィンチ用鉗子(関節があるため、開閉だけでなく先端が手首の様に曲げられる)。
下は腹腔鏡手術用の鉗子(開閉のみ)。

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医師

山田 純(科部長)

卒業年 平成11年

医学博士
日本外科学会 外科認定医・専門医

日本消化器病学会 消化器病専門医

日本消化器外科学会 消化器外科専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医

日本消化管学会 胃腸科専門医・指導医

日本食道学会 食道科認定医

日本がん治療認定医機構がん治療認定医

身体障害者福祉法指定医(ぼうこう又は直腸機能障害)

臨床研修指導医

荒川 敬一

卒業年 平成20年

医学博士

日本外科学会 外科専門医

日本消化器外科学会 消化器外科専門医・消化器がん外科治療認定医

日本大腸肛門病学会 大腸肛門病専門医

日本消化器病学会 消化器病専門医

日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医

日本内視鏡外科学会 技術認定医(消化器・一般外科)

日本遺伝性腫瘍学会 遺伝性腫瘍専門医

日本内視鏡外科学会 ロボット支援手術プロクター

日本がん治療認定医機構 がん治療認定医

臨床研修指導医

實野 和澄
卒業年 令和3年

出縄 康次

卒業年 令和3年
福田 和起
卒業年 令和4年
新海 宏(非常勤)

卒業年 昭和61年

医学博士

日本外科学会 外科認定医・専門医・指導医

日本消化器病学会 消化器病専門医・指導医

日本消化器外科学会 消化器外科認定医・専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医

日本がん治療認定医機構 暫定教育医

日本医師会認定産業医

身体障害者福祉法指定医(ぼうこう又は直腸機能障害・小腸機能障害・肝機能障害)

臨床研修指導医

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