呼吸器外科

更新日  令和6年10月7日

診療体制

 手術:毎週水曜日と隔週木曜日が定時手術日です。
 外来:月曜日と火曜日・金曜日が外来診察日です。術前及び術後の診察や、気胸・胸部外傷の診療をしています。また外来診察日以外でも手術中以外は随時外来診察に応じています。

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対象疾患

  • 肺がん・転移性肺腫瘍
  • 良性肺腫瘍
  • 縦隔腫瘍・胸壁腫瘍
  • 気胸
  • 感染性肺疾患・膿胸
  • 胸部外傷

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診療科特色

患者さんに寄り添った適切と考えられる手術方法の提案

 肺がん治療は、どの方法が良いのか日々の医療の進歩で少しずつ変わっていくため、肺癌診療ガイドライン(日本肺癌学会より刊行)にそった、エビデンス(医学的根拠)に基づいた治療を標準としています。根治治療のために推奨される肺切除の範囲(大きさ)は、偶然見つかった影から進行肺がんまで腫瘍の場所・大きさ・CT画像での影の見え方(濃度)によって変わります。また、患者さんの全身状態によって許容される手術内容が違います。患者さんに寄り添ったベストと思われる方法を提案、説明させて頂きますが、不安なことや確認したいことがあれれば担当医にお聞き下さい。薬物療法は呼吸器内科、放射線治療は放射線治療科に依頼・施行させて頂いています。手術は、基本3-4つのポートによる完全胸腔鏡手術を心がけ、2022年度の科部長交代からは肺癌手術の90%以上を胸腔鏡手術でおえています。

当科は、東京大学医学部付属病院呼吸器外科を基幹施設とした呼吸器外科専門研修連携施設として登録されています。基幹施設ともにwebカンファレンスによる症例検討を行うことで、より適した治療を提案できるようにしています。高難度手術に対しても大学から人員を招請することで対応し、難しいがん治療でもできるだけ地域医療で完結できるよう努めています。

気胸に対する入院期間の短縮を目指して

気胸とは肺がパンクしてもれた空気が胸腔(肋骨で囲まれた肺が治まっている空間)にたまり、肺と心臓を圧排している状態です。
肺がパンクするときに痛みを伴うことが多いです。
ほとんどがブラとよばれる肺のう胞(風船みたいなイメージです)に小さな孔が開いておこります。
たまった空気の程度で、呼吸困難感や血圧低下のような循環不全を起こすことがあります。
ある程度以上の空気がたまった肺がつぶれている場合は、もれた空気を胸の外に出す治療(胸腔ドレナージ)が必要になります。中等度程度までの気胸の場合は、ソラシックベンド(携帯型胸腔ドレナージの器具)を使い、従来入院でしか対応できなかった胸腔ドレナージ治療を外来治療で行い入院を避ける試みをしています。
高度の気胸、緊張性気胸、胸水を伴った気胸、血気胸の場合はソラシックベントの対象外であり入院して胸腔ドレナージを行います。肺からの空気漏れが止まらない場合や、再発予防のための手術を希望される場合には、胸腔鏡による手術を行っています。

小型肺病変に対するマーキング技術

Virtual Assisted Lung Mapping (通称VAL-MAP)

手技の概要は高解像度CT画像を基に3次元再構成したバーチャル気管支鏡をガイドにして、気管支鏡下に少量の染料(インジゴカルミン)を肺表面に吹き付け印をつけます。複数個所(2-6箇所程度)の印を同時につけることで、可塑性に富む「肺」という臓器の表面に角度、相対的距離といった位置情報を与えることができる「マッピング」を作成します。

 

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3D画像での施行後、イメージ作成
A... ターゲット B...赤い部分が腫瘍の位置、青い部分がマーキングの位置 C...術中のマーキングの見え方

この方法が特に有効と思われるのは、胸腔鏡を用いた手術では指で触れて確認することが難しい小さな病変や、CTですりガラス様陰影を呈するやわらかい病変、また確実な切除マージンを確保した過不足のない切除を必要とする手術などです。 VAL-MAPのよい適応と考えられる手術・病変は以下の通りです。

・原発性肺癌が疑われる小さなすりガラス様病変(ground glass nodule)
・小さな転移性肺腫瘍
・複雑な区域切除
・葉間にまたがり、切除するラインでの距離確保が重要なすりガラス様病変
・胸膜癒着が予想され、肺部分切除・区域切除が必要な場合

より低侵襲な縦隔腫瘍に対する手術

これまで開胸手術や胸腔鏡手術で対応していた縦隔腫瘍手術を当院でも保険診療としてロボット支援下手術ができるようになりました。ロボット支援課胸腔手術とは、術者がロボットを操作してカメラや鉗子(かんし)を動かし行う胸腔鏡手術です。

従来の胸腔鏡手術では、創部が小さいこと、術後疼痛が軽減されること、術後の回復が早くなることが利点として挙げられていました。しかしながら、従来の胸腔鏡手術においては鉗子の動きに制限があり、手術の部位によっては胸腔鏡手術が難しいことがありました。

ロボット支援下手術の特徴

(1)3D(三次元)および拡大視野による画像

(2)自由度が高いロボットアーム

(3)コンピューター補正機構(手ぶれ補正、モーションスケーリング)

により、下記の利点が得られるようになっております。

  • 従来の胸腔鏡手術が難しかった手術でも、胸腔鏡下での手術が可能となる。
  • 小さな傷で手術が可能なので、開胸手術に比べて痛みの軽減や早期回復が期待できる。
  • 臓器の様子が正確にわかり、ち密な操作が可能となるので臓器・血管・神経の副損傷を回避することができる。

 

当院の広報紙、茅ヶ崎市立病院通信第12号で呼吸器外科のダヴィンチへの取り組みについて紹介しております(第3面)

手術実績

  令和5年度 令和4年度 令和3年度
原発性肺癌 32 44 74
転移性肺腫瘍 3 2 12
気胸・嚢胞性肺疾患 17 17 20
縦隔腫瘍 15 7 4
良性腫瘍 27 30 23
炎症性肺疾患 1 1 2
胸壁腫瘍 1 0 0
胸膜腫瘍 0 1 1
その他 1 4 0
  97 106 135

(注)小分類は重複含む

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施設認定

呼吸器外科専門医合同委員会 専門研修連携施設

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データベース事業について

当科は日本外科学会をはじめとする外科系の学会が中心となって立ち上げた、データベース事業(NCD:National Clinical Database)に参加しており、手術症例のデータ登録を行っています。NCDの詳細につきましては下記のリンクよりご覧ください。

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医師

井上 雄太

(科部長)

卒業年 平成15年

日本外科学会 外科専門医

呼吸器外科学会専門医合同委員会 呼吸器外科専門医

日本結核・非結核性抗酸菌症学会 結核・抗酸菌症指導医

日本DMAT隊員

臨床研修指導医

da Vinci アシスタント・サーティフィケート

緩和ケア研修 修了

 

大坪 巧育

卒業年 平成29年

日本外科学会認定 外科専門医

da Vinci コンソールサージャン・サーティフィケート

緩和ケア研修 修了

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電話:0467-52-1111(代表)
ファクス:0467-54-0770
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