手術支援ロボット「da Vinci」導入について
更新日 令和5年5月31日
手術支援ロボット(ダヴィンチ)による手術を7月より開始します
ロボット支援手術とは
「ロボット支援手術」とは、執刀医がロボットをコントロールしながら行う低侵襲手術(患者さんの体への負担が少ない手術)のことです。当院が導入している「ダヴィンチ」は1999(平成11)年にアメリカFDA(食品薬品局)の許可を受けて以降、普及が進み、現在世界での臨床実績は年間約150万例。この手術を受けた患者さんも延べ1,000万人を超えています。(2022(令和4年)1月現在)
従来の腹腔鏡手術と同様に、体に小さな穴を開けて行う手術です。傷口が小さく済むため、手術中の出血量を抑えられると同時に、術後も以下のように様々なメリットが期待できます。
メリット1 傷口が小さい
手術に必要なのは、0.5~1.5センチほどの穴で最大6か所。切除部位を取り出すため、1か所だけ4センチメートルほどに広げることがあります。
メリット2 手術中の出血量が少ない
ダヴィンチの動きは精緻で、止血も効果的にできるため、輸血が行われた例は少数です。
メリット3 術後の疼痛が少ない
傷口が小さいため、痛みを軽減できます。
メリット4 回復が早い
体への負担が少ない分、術後の回復が早く、早期の社会復帰が望めます。
メリット5 術後の合併症リスクが低い
「ダヴィンチ」の鉗子(物をつかむためにつかう手術器具で「ダヴィンチ」の指先に相当)の動きは柔軟で、緻密で正確です。病変部に的確にアプローチできるため、組織の損傷や合併症を抑えられます。
一方で、鉗子類には触覚がないために、術者に慣れが必要となる点はデメリットといえますが、ダヴィンチの製造元であるインテュイティブ・サージカル社が定めるトレーニングを修了し、資格を取得した医師が執刀いたしますのでご安心ください。
緻密な動きを再現する鉗子は人間の手より大きな可動域を持ち、手先の震えが鉗子の先に伝わらないように手ぶれを補正する機能も備わっています。
アームの先端に備わるシャフトは直径8mmほど。先端の鉗子類を手先と同様の繊細な動きで操ることで、小さな傷口での手術を可能にします。
鮮明で高画質な3次元立体画像を映し出す内視鏡。肉眼の10倍の拡大視野でとらえることができるため、術者はより自由に手術を進めることができます。
令和5年度に予定している対象手術術式
泌尿器科領域
- 前立腺がんに対する前立腺全摘出術
- 膀胱がんに対する膀胱全摘出術
消化器外科領域
- 直腸がんに対する直腸切除・切断術
- 結腸がんに対する結腸切除術
今後、対象となる術式を拡大するとともに、婦人科領域・呼吸器領域についても順次準備を進めていく予定です。
なお、ダヴィンチによる手術は手術方法の一つであり、患者さんの状態により、適切な医療を担当の医師よりご提案させていただきます。