呼吸器外科
更新日 令和7年10月21日
呼吸器外科とは
呼吸器外科は、肺や縦隔、胸膜や胸壁、気管、気管支など胸部の疾患を専門に外科的治療をおこなっています。肺がんや転移性肺腫瘍といった悪性腫瘍から、気胸や膿胸、胸部外傷などの良性疾患まで幅広く対応しています。患者さんの負担を軽減する胸腔鏡手術やロボット支援下手術を積極的に導入し、安全で質の高い医療を提供することを目指しています。地域の開業医とも連携し、難しい癌治療でも地域内で完結できるよう努めています。
対象疾患
呼吸器外科で診療しているおもな対象疾患・症状は以下のとおりです
- 肺腫瘍:肺がん、転移性肺腫瘍、良性肺腫瘍など
- 縦隔腫瘍:胸腺腫、胸腺癌、奇形腫、神経原性腫瘍など
- 気胸
- 胸壁腫瘍
- 感染性肺疾患・膿胸
- 胸部外傷
診療科の特色
患者さんに寄り添った適切と考えられる手術方法の提案
肺がん治療は、どの方法が良いのか日々の医療の進歩で少しずつ変わっていくため、肺癌診療ガイドライン(日本肺癌学会より刊行)にそった、エビデンス(医学的根拠)に基づいた治療を標準としています。
根治治療のために推奨される肺切除の範囲(大きさ)は、偶然見つかった肺の小さな影から進行肺がんまで腫瘍の場所・大きさ・CT画像での影の見え方(濃度)によって変わります。また、患者さんの全身状態によっても許容される手術内容が違います。
患者さんに寄り添ったベストと思われる方法を提案、説明させて頂きますが、不安なことや確認したいことがあれば担当医にお聞き下さい。
薬物療法は呼吸器内科、放射線治療は放射線治療科に依頼・施行させて頂いています。
手術方法は完全胸腔鏡手術やロボット支援胸腔鏡下手術による低侵襲な手術を積極的に導入しています。
当科は、東京大学医学部附属病院呼吸器外科を基幹施設とした呼吸器外科専門研修連携施設として登録されています。基幹施設ともwebカンファレンスによる症例検討を行うことで、より適した治療を提案できるようにしています。高難度手術に対しても大学から人員を招請することで対応し、難しいがん治療でもできるだけ地域医療で完結できるよう努めています。
低侵襲手術の積極的な導入
当科では、肺がんをはじめとする胸部の疾患に対して胸腔鏡手術(多孔式、単孔式)やロボット支援下手術を積極的に取り入れています。これらの手術は、小さな傷で済むため術後の痛みや呼吸に必要な筋肉へのダメージを最小限にすることで、早期の回復や社会復帰が期待できます。

気胸では2.5cm程度、肺癌では4-5cm程度の一つの傷で手術をおこないます。傷が一つだけになることで痛みの軽減が期待されます。

4cm程度の傷1箇所と0.6-1.2cm大の傷を2-3箇所追加し手術をおこないます。単孔式よりは傷が多くなりますが、開胸手術に比較すれば小さく開胸器をかけないので痛みが軽減されます。複数の孔があることで鉗子の干渉が少なく単孔式に比べ多少複雑な手技にも対応が可能です。
ロボット支援胸腔鏡下手術
自由度の高い鉗子により精密な操作が可能になり従来の胸腔鏡手術では難しかった手術も、より安全に胸腔鏡下でおこなえるようになりました。
当院の広報紙、茅ヶ崎市立病院通信第12号で呼吸器外科のダヴィンチへの取り組みについて紹介しております(第3面)
気胸に対する入院期間の短縮を目指して
気胸とは肺がパンクしてもれた空気が胸腔(肋骨で囲まれた肺がおさまっている空間)にたまり、肺と心臓を圧排している状態です。
肺がパンクするときに痛みを伴うことが多いです。
ほとんどがブラとよばれる肺のう胞(風船みたいなイメージです)に小さな孔があいて起こります。
たまった空気の程度で、呼吸困難感や血圧低下のような循環不全を起こすことがあります。
ある程度以上の空気がたまった肺がつぶれている場合は、もれた空気を胸の外に出す治療(胸腔ドレナージ)が必要になります。
中等度程度までの気胸の場合は、ソラシックベンド(携帯型胸腔ドレナージの器具)を使い、従来入院でしか対応できなかった胸腔ドレナージ治療を外来治療で行い入院を避ける試みをしています。
高度の気胸、緊張性気胸、胸水を伴った気胸、血気胸の場合はソラシックベントの対象外であり入院して胸腔ドレナージを行います。肺からの空気漏れが止まらない場合や、再発予防のための手術を希望される場合には、胸腔鏡による手術を行っています。肺のう胞の数や場所が限局した自然気胸では単孔式胸腔鏡手術による低侵襲手術も積極的に導入しています。
小型肺病変に対するマーキング技術
Virtual Assisted Lung Mapping (通称VAL-MAP)
手技の概要は高解像度CT画像を基に3次元再構成したバーチャル気管支鏡をガイドにして、気管支鏡下に少量の染料(インジゴカルミン)を肺表面に吹き付け印をつけます。複数個所(2-6箇所程度)の印を同時につけることで、可塑性に富む「肺」という臓器の表面に角度、相対的距離といった位置情報を与えることができる「マッピング」を作成します。
A... ターゲット B...赤い部分が腫瘍の位置、青い部分がマーキングの位置 C...術中のマーキングの見え方
この方法が特に有効と思われるのは、胸腔鏡を用いた手術では指で触れて確認することが難しい小さな病変や、CTですりガラス様陰影を呈するやわらかい病変、また確実な切除マージンを確保した過不足のない切除を必要とする手術などです。
VAL-MAPのよい適応と考えられる手術・病変は以下の通りです。
・原発性肺癌が疑われる小さなすりガラス様病変(ground glass nodule)
・小さな転移性肺腫瘍
・複雑な区域切除
・葉間にまたがり、切除するラインでの距離確保が重要なすりガラス様病変
・胸膜癒着が予想され、肺部分切除・区域切除が必要な場合
診療実績
施設認定
呼吸器外科専門医合同委員会 専門研修連携施設
データベース事業について
当科は日本外科学会をはじめとする外科系の学会が中心となって立ち上げた、データベース事業(NCD:National Clinical Database)に参加しており、手術症例のデータ登録を行っています。NCDの詳細につきましては下記のリンクよりご覧ください。
医師の紹介
井上 雄太(科部長)
卒業年 平成15年
日本外科学会外科専門医
呼吸器外科学会専門医合同委員会呼吸器外科専門医
日本呼吸器外科学会評議員
日本結核・非結核性抗酸菌症学会指導医
日本肺癌学会暫定指導医
日本DMAT隊員
手術支援ロボット Da Vinci Certificate
臨床研修指導医
緩和ケア研修 修了
吉安 展将
卒業年 平成26年
医学博士
日本外科学会認定 外科専門医
日本呼吸器外科専門医合同委員会呼吸器外科専門医
日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医
日本肺癌学会暫定指導医
手術支援ロボット Da Vinci Certificate
手術支援ロボット hinotori Certificate
日本移植学会移植認定医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
臨床研修指導医
外来スケジュール
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このページに関するお問い合わせ
茅ヶ崎市立病院 病院総務課 総務担当
〒253-0042 神奈川県茅ヶ崎市本村五丁目15番1号
電話:0467-52-1111(代表)
ファクス:0467-54-0770
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